ヒュッテから勝縁荘を経て大菩薩峠に向かう途中、水場を過ぎて7080㍍ほど登ると、左側の山の斜面に苔生した大きな岩がごろごろと連なる枯れ沢が見えます。雨が降ると岩の下を水が伏流水となって流れるのだろうと思われます。

 過日、この岩の間から何とも妙なる音が響いてくるのが聞こえました。多分、伏流水が小さな雫となって落ち、そこにちょうど壷状の水たまりがあって、落ちた雫が岩の壁に反響して妙音となったのだと思いました。静かな山の中で聞く妙音はなんとも幽玄な感じがしました。天然の水琴窟ではなかろうかと思いました。

テキスト ボックス: 峠への旧道 ただ、この妙音はいつでも聞けるわけでもなく、またいつ聞けるかもわかりません。

ヒュッテに泊り、山の気を一杯吸って、天然の幻の水琴窟の妙音を訪ねてみるのはいかがでしょうか。

11回生 山岳部OB 小池 敏雄

あああ