利用された46回生Mさん、PTA会長に続き、Oさん、さらにはSさんからも体験談をいただきました(下に追加し掲載しています)。みなさん素敵な感想をお寄せいただきありがとうございます!! 22.9.25
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もうあれから1か月も経つんですね、あっという間の夏休みでした。。。
8/6,7に利用された46回生有志の会の参加者からの声と、PTA会長の体験記を掲載します。
…原稿はかなり前にいただいていたのに、Upが遅くなってしまい申し訳ありません。
「正直、ぜんぜん衛⽣的ではないし、・・・特に布団は微妙にしっとりしてて・・・」なところであるにもかかわらず、こんなに素敵な声をいただき、本当にうれしいです~。
湿潤な夏の気候が過ぎれば結構ドライな布団で眠ることもできますので、ぜひ季節を変えてまた訪問ください~~

***まずは、Mさんからの寄稿**********************

2022 年 8 ⽉ 6 ⽇(⼟)〜8 ⽉ 7 ⽇(⽇)、⼤菩薩峠に⾏きました。
そもそも⼭に⾏ったことのないわたしは⼤興奮。あと何⽇!と指折り数えては⼼待ちにしすぎて、前⽇はよく寝れなかった…って⼦どもか。談合坂で初めましての管理⼈さん親⼦とも合流し、ワクワクしながら向かいました。
で、思った以上の⾼さまでクルマで登るんだね。わたしは⼭道ドライブでいきなりダウン。⼀度クルマから降ろしてもらわないとならないほどに酔ってしまいテンション下がりかけたものの、あ、空気が気持ちいい!明らかに都会とは違う!マイナスイオンが⽬に⾒えるよう‥って、マイナスイオンが何かよくわかんないけどね。
そしてみんなでおにぎりとかパンとか⾷べて、ハイキングへ。途中は曇りとか霧とか、もはや⼩⾬とかで、天気いまいちだったのですが、メンバーにスーパー晴れ男がいたこともあり、⼒技で⻘空と太陽を出してもらって満⾜しました。実際に歩いたのは往復でも 3 時間くらいかな。⼩学 1 年⽣でも⼤丈夫なくらいのコースなのだけれど、うん、⼭頂の眺めはさすがにいいね。野⽣の⼦⿅もピョンピョン出てきて、ほんの数時間前まで都会にいたことが何だか夢のよう。⼭登り未経験者のわたしは、ある程度⼤変な思いをしないといい眺めは堪能できない気がしてたけれど、こんなに気軽に⼿軽に素敵な眺望に出会えるんだね!というのが率直な感想です。⼤菩薩峠が特別にそうなのかな?⼭としてのコストパフォーマンス、むちゃくちゃ⾼いんじゃないかな?
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そして今回の⽬⽟のもうひとつは、⼤菩薩ヒュッテに宿泊することでした。あまり事前の情報を持たずに⾏ったのだけれど、えー、なになにここ楽しいよ!⾯⽩いよ!エキサイティングだよー!正直、ぜんぜん衛⽣的ではないし、なんならまぁ汚いと⾔っていいと思うけれど、特に布団は微妙にしっとりしてて快適ではないけれど、でもそんなことの全部がどうでもいい感じ。⼤らかで、逞しくて、無⾻で、70 年の間みんなに愛されてきたこと、信頼されてきたことが空間に⽴ち上っている感じ。そういう意味での清潔感というか、いい気があると思った。
たくさんの⼈たちがここでいい時間を過ごしたことがなんかわかる。⼭⼩屋だもん、ヒュッテだもん、こうでなくっちゃという感じ。
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そもそも豊かな⾃然に囲まれていて、空気は澄み渡っていて、みんなでワイワイご飯を作って⾷べて、お酒飲んで、薪ストーブを囲んでおしゃべりして、夜は⾬⾳、朝は⿃のさえずりが聞こえて、えっとそれ以外に必要なものってあったっけ?って思う。なんかね、時間の密度が濃いんだよね。新鮮な野菜を切ったり茹でたり、給⾷みたいな⼤きな鍋をかき回したり、壊れてしまった⽔のポンプを修理したり、新しいトランプのルールを覚えたりと、たっぷりした夜。電波が⼊らないのもよくて、やることに無駄がないというか、なんとなくぼーっと携帯電話を⾒て過ごしてしまった 2.3 時間とは圧倒的に違う。⼼⾝が本能的に喜んでいるというか、蘇る感じがあると思う。
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⼈と距離をとることが必要なこの閉塞的な状況には正直もう飽きた。毎⽇どこに⾏くにもマスクして、検温や消毒して…という⽣活にはみんな想像以上にダメージを受けているのではないかと思う。⼈はやっぱり触れ合いたいんだよ。顔を⾒ながらくだらいないことを話したり、ゲラゲラ笑ったりしたいし、賑やかにご飯⾷べたいし、⼿をつなぎたいんだよ。そういうことが⾃分の底⼒になって、体と⼼の免疫⼒を上げていくんだよ。たぶん⼤菩薩峠ではそれができるよ。そして最後になりましたが、布団を乾燥させるアイデアをお持ちの⽅、ぜひご連絡ください。
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2022.8.29 松本奈穂(旧姓 吉岡)
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・・・布団を乾燥させるためには、晴れた日中に外にロープを張って干したり、薪ストーブで室内があったまりだしたら布団をまわりに立てて乾かしたりしています。。。湿った布団で寝るのが嫌な方は、寝袋かシーツ、せめてバスタオルを持って利用ください~

また、その週末には都武蔵PTA現会長も宿泊。
Outdoor経験もない中で「PTAが維持管理に参画しているのならぜひ見に行こう」と実際に宿泊いただいた、その行動力に感謝です。
宿泊後のメールには、「ご一緒できた方々がいい人たちで、それがよかったと思います」との冒頭で始まり、「ヒュッテをもっと利用してもらうには?」といろいろ考えていただきました。その最後はこんな感じ。。。

・個人的には布団が湿っているのは嫌だなと思います。毛布が湿っていなかったのでよかったですが。
 ネットで見たところ、富士山等の山小屋もそのようなもののようですので、山としては一般的なのかもしれません。私だったら、今ある布団を全て処分して、ポリエステル等の布団を10枚程用意して、それプラス、このようなシーツを持参してもらうことにする。インナーシーツ?シュラフカバー?
https://www.yamakei-online.com/yama-ya/detail.php?id=1133 不足があるのであれば寝袋を持参、としたいなと思います。

やっぱり布団か。。。今後の参考にさせていただきます。PTA会長からの訪問記録を続きにupしましたのでぜひそちらもご確認ください!

いずれにしても、46回生の皆様、PTA会長、利用ありがとうございました!!


*********************************************以下、22.9.11追記
PTA会長からも「ヒュッテ訪問記録」をいただきました。PTAとして大菩薩ヒュッテを以下に有意義にしていくかまで考えていただき、本当に恐縮です。

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ヒュッテ訪問記録
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ヒュッテに行ってきました。
2022年8月6日土曜日の16時45分に、最寄り駐車場で待ち合わせ、
翌日 8月7日の正午に山小屋を出て駐車場で皆様とお別れしました。

ヒュッテの山小屋は勝沼ICで降りて、塩山駅の北側から行くルートと 甲斐大和駅側から行くルートがあるようですが、 今回はナビに従い甲斐大和駅側から行きました。 真夏日でしたので、大変暑かったですが、ヒュッテは冷えるということなので 長袖を持っていきました。

山道に入っても道はきれいに舗装されていて、二車線の走りやすい道でした。 ヒュッテの最寄りとなる上日川峠(大菩薩峠8合目:標高1600m)で待ち合わせをしました。 涼しいです。ですが半袖だと寒いというほどではないです。 周りの人も半袖です。

管理人の塩塚さんにあってから、 ヒュッテに行く近道があるということで、車を少し移動させました。移動したところからは 歩いて20分くらいということです。(実際は15分くらいかもしれません。) そこからは道でない斜面を登って、まもなく着きました。 近くには川があるようで水の音がします。

到着すると、水道が壊れていました。これから塩塚さんが治すそうです。

塩塚さんのお友達でヒュッテに比較的いらっしゃってる方と、その娘さん(小1)、 その方のお友達3名(男1女2)と塩塚さんの娘さん(小1)が先に到着していました。 私が来る前にハイキングに行ったようで、野生のシカの群れにあったそうです。 全然逃げないそうです。

夜は食べ物を作ってくれてましたので、その間にヒュッテの様子を確認していました。

電気はソーラーパネルがあり、それで発電しているので明るいです。 プロパンガスがあり、ライフラインには全然問題を感じません。

昔はロウソクを使っていたようで、二階に寝室が二箇所ありますが、その梁にはロウソクが垂れた 後がたくさんありました。

1階は居間にあたるところがあり、隣の部屋の仕切りは開け放たれていました。 真ん中に薪ストーブがありました。

トイレは建物内ですが少し離れたところにあり、普通にきれいでした。男女別です。

薪ストーブは最初、ハテさん(塩塚さんのお友達)がつけようとしてつかなかったのですが、 寒くなってきたので、私が火起こしを担当しました。全体の9割の仕事はハテさんだったと思います。

夕食は焼いた野菜や肉等とお酒をいただきました。 この頃から寒くなり、半袖の上に長袖の上着を羽織っています。

子供が鳥がいる、と騒ぎ出し、見てみると小屋にコウモリがいました。 コウモリはその後、飛んで行って小屋のどこかに移動しました。 やまねがいたことがあるそうですが、残念ながら出会えませんでした。

夜はストーブを囲んでお話をしていました。 2階は使わずに男女で部屋をしきって使いました。

お話をしていると、昔の武蔵生は学区があったため、地理的に近い(と言っても中央線で数駅以上ある)ので 家に遊びに行ったり、あの場所に何があるというような地域のつながりが多かったようです。

朝は味噌うどんをいただきました。

軽く山に登りませんか?と言われていたのですが、私が山はそんなに得意でないのでお断りしていたこともあって、 他の方も山には行かずに、昼前まで、子供とトランプをしたり、掃除をしたりして、 山を降りました。 他の方は温泉に行って食事をするようですが、一足先に失礼させてもらいました。

楽しく、参加させてもらいました。 生徒にとっては、地質とか登山とか学問に結びつけたよさもありますが、それを抜きにしても、一度体験するの もいいんでないかなと思います。

(PTA)会員にとっては、山やアウトドアが好きな方にとっては楽しめるかと思います。

そこまででもないという方(私もです)にとっては、友達と交流できるとかその日、同泊する人と知り合えるとかは 楽しいかと思います。

これは嫌かもなという点もありまして、
敷布団がとても湿っています。毛布は湿っていないので、毛布を敷布団の上に4枚敷いて、間に挟まって寝まし た。 敷布団は乾かしたいです。もしくは湿らないものにした方がいいのではないかなと思いました。 ポリエステル製にするとか。ただ山の都合があるのかもしれません。もしくは本格的な人は寝袋を使えば、 敷布団がたくさんありましたが、たくさんいらないのでその分、乾燥できる空間を作ってもらいたいなと思いまし た。 そういうことは山ではできないのかもしれません。 できればシーツもあるのがよいと思います。毛布はさらさらしていてよかったですが。 居間には虫は数匹大きいのがいるくらいでほとんどいませんでしたが、トイレに行く途中の廊下には窓に小さな 虫が集まっていたので 虫が苦手な方はつらいかもしれません。これは山であればこんなものかなとは思います。

ソーラー発電があるので携帯の充電もできます。電波は来るか来ないかくらいで、1日目夜は外にでると電波が 届いたタイミングがありましたが、 その後は、ほとんど電波がこないので、昼に降りるまでモバイル通信はオフにしていました。

麓の塩山周辺は街ですので、日帰りでヒュッテに行ったり、ヒュッテを使うけど食事や宿やお風呂は塩山で、とい うのも問題なく出来るかと思います。 1日4本くらいだったかバスも出ています。 交通の便は思ったよりずっとよく、あえて言えば中央道の渋滞が一番負担です。 行きも帰りも渋滞でした。自宅用にうどん、桃、ぶどうを買って帰りました。

一般的な山小屋としてはよいかと思いますが、これをPTA、学校としてどのように活用するかについては、なか なか難しいところがあるかと思います。

会員が使ってもいいですが、生徒にとってより貴重な体験となると思いますので、 日帰りや麓の施設との組み合わせも含めて、多くの生徒が一度は使うという機会が用意されれば、 PTAとして支援する意義があるのかと思います。 例えば、日帰りのジオツアーであったり、麓の体育館等を活かした部活の合宿等が考えられます。 ポストコロナ、ウィズコロナとしての活用方法を検討していければと思います。

施設利用料:1000円 、飲食費:3000円程度 、他自家用車諸経費

守山さん1
左)子供用スペースあり   右)夕食を2階から撮影

守山さん2
左)熊が出たのは10年以上前だそうです。 右)薪ストーブ。まあまあ新しいです。


*********************************************以下、22.9.24追記
同じく46回生Oさんからもヒュッテを利用しての文章をいただきました!
私が維持管理をしながらもヒュッテに抱いている感覚を、的確に表現いただいています。

*****Oさんからの体験談****************************************

濃霧の中から、神々しく現れた大菩薩ヒュッテは、思ったより大きかった。

存在を知ってから来るのに30年かかった僕にも、「ようこそ。待っていたよ」と優しく迎え入れてくれるような穏やかな雰囲気を纏っていた。
大塚さん1

 

初めてその名を聞いたのは入学式だったと思う。

在学中に利用することはなかったが、ずっと気になっていて、高校3年のダブルデートで登ったのは大菩薩峠だったりした。

 

そして、自分の子どもが高校3年になった今になって、遂に行くことになった(なお、子どもが武蔵生な訳ではない)。

誘ってくれたのは、ダブルデートに行った親友。不思議な縁のようなものを感じる(デート相手だった女子2名は今回一緒ではなかったが)。

大塚さん2


小屋に入ると、これまた想像より広い。

何せ、かつてはひとクラス全員が宿泊したというのだから、そりゃ大きいはずだ。

 

1956年竣工とのことで、古さはある。だけど、まだまだ現役バリバリ。

というのも、山岳部OBを中心に助力がなされ続けているそうで、水道は勿論、ソーラーパネル、水道水を分岐して得る水力発電まであるのだ。ただ、ここでトラブル発生。水が出なくなり、同行した管理人さんが水源へ確認しに行く。悪戦苦闘後、彼の機転で無事に水が出た時の喜びといったら! 今どき水が出ただけで喜ぶことってあまりないですよね?

 

広い炊事場で旧友らと夕食の準備。これがまた楽しかった。たまに食事をすることはあっても、一緒に料理をするのは初めて。

大菩薩ヒュッテは、どんなことも新鮮な体験にしてくれる。

 

出来た料理を盛り付けようと食器を取りに行ったら、思いがけず、胸がいっぱいになった。

棚の中の食器が、あまりに大量だったからだ。

一般家庭の量ではない。そう、ひとクラスを賄える数の食器なんだ。

どれだけの高校生がここで食事をしてきたのだろう?

こんなところにも、子どもたちを長年見守り支えてきた、物静かだが強い包容力を感じた。

 

ヒュッテの中心は、建物の真ん中にある囲炉裏だ。今は薪ストーブが置かれ、夏でも冷える山中で活躍する。
大塚さん3

暖を求めて皆が集まり、囲んで語らう。

この日が初対面の管理人さんももちろん武蔵卒で数年上の先輩。

「アトラクが〜」「丸五で〜」

年齢関係なく、武蔵ワードで盛り上がる。

こういうのは同窓ならではですね。

松崎先生、秀明先生、まるみ先生などの共通した先生の話題も出て、楽しさと懐かしさでいっぱいに。先生方、お元気でしょうか?

 

ロックのウイスキーと共に、楽しい夜はずっと続いた。

気付いたら朝10時。あれ?「遅くとも8時に起きよう」って言ってなかったっけ? 「まぁ、そんな細かいことは良いじゃない」というのが大菩薩時間かな。

大塚さん4

 

そう、もちろん大菩薩峠も登った。

ヒュッテからは高尾山よりも楽に登れる。小学生でも登れる。

にも関わらず標高は高く、また大きな木が少ないので眺めが良い。

軽食やお土産を売るお店もある。

そして、鹿の群れも見られた!
大塚さん5

旅行前は「電波があまり入らない」と聞き動揺したけれど、来たら、そもそもスマホの存在を忘れていた。

大菩薩ヒュッテの旅は、有名な観光地やラグジュアリーホテルで得られるのとはまた違う、かけがえのない特別な思い出になった。
大塚さん6

2022年8月6日(土)〜7(日)

大塚 晋(1994年卒業)


*********************************************以下、22.9.25追記
Oさん投稿に刺激され(?)、山岳部OBのSさんからも体験談を寄稿いただきました。山岳部現役時代の記憶をたどる内容、これもヒュッテという存在がなしえたものですね。
それにしても、同じ時を共有したのにMさん,Oさん,Sさん+PTA会長の体験談がどれも重複感がなく、ヒュッテに泊まって抱く気持ちが人によってまちまちなことが改めて不思議と感じてしまいます。これがヒュッテの包容力か??

*****Oさんからの体験談****************************************


私は記憶力が悪い。

 

昨日のごはんも数日前のことも、いわんや数年前のことも、みんなきれいに忘れてしまう。

子供や友人に「え、覚えてないの…」と引かれることもしばしばだ。

 

今回、大菩薩ヒュッテに行くと決まったとき、山岳部出身の私は、初めていく友人に「どんなところ?」「何を持っていくべき?」と聞かれた。当然だ。

 

が、何ひとつ思い出せない。ヒュッテの外観も、内景も、行くまでの道も。何一つ。

 

幸い、誘ってくれたラグビー部出身の友人が娘さんを連れてヒュッテを訪れた経験があり、万事取り仕切ってくれてことなきを得た。

 

卒業からウン年経っており、記憶がおぼろになるくらいは当たり前だろうけれど、清々しいくらい何も覚えていない。新入生歓迎の登山は毎回ヒュッテなので、少なくとも3回は行っているはずなのに。

 

だから、期待していた。

 

「きっとこれはヒュッテを見たとたんに過去の記憶が溢れ出して、涙するパターンだわ」

 

当日。たくさんの食材をヒュッテに運ぶことを見越して、クルマでぎりぎりまでアプローチしてくれた結果、ヒュッテへの登山はあっけないくらいすぐ終わった。ノスタルジーに浸る時間もなかったし、高校生のときはバスに延々乗ったうえでもう少し登ったような気がするので、なんか騙されたような気もした。

 

いよいよヒュッテとの再会。

 

初日の天気はいまひとつで、霧が立ち込める中、ミステリアスな佇まいでヒュッテは現れた。

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(ヒュッテの入口。手前には水を汲み上げるポンプがある)←管理人註:ポンプではないです

 

中に入る。見た目よりも広い空間、ロフトもあって、たくさんの布団(ただし湿り気味)。並ぶ大鍋、大小さまざまなお皿、1クラスは泊まれるというのもうなずける。そしていろりを囲む空間。ガスも通って、水道もあり、トイレも清潔でとても快適。

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(ロフトの階段からいろりを見下ろす。夏でもここまでのぼると空気はひんやり)

 

でも、当時の記憶は蘇ってこない。かつて本当に自分がこの空間にいたのだろうか?

 

ひといきついて、晴れ間を縫って無事に大菩薩登頂。

頂上の記憶もまるでなかったけれど。

 

でも、たくさん肉を焼いて、わしわし食べて、ぐびぐび飲んで。同行者のお嬢さんたちとトランプしたり、同級生と他愛も無い話をしていると、高校生だった当時のいろんな記憶が断片的に浮かび上がってきた。

 

光の当たる渡り廊下、半分寝ながら聞く古文の先生の声、休み時間のみんなの笑い声やさざめき、山岳部の部活で小金井公園までいつも走っていた道…

 

ヒュッテのことは思い出せなくても、山岳部の記憶も出てきた。

 

はじめての夏山、北アルプスでふらふらになって後ろの先輩にザックを支えてもらいながら登ったこと、頂上にまだあった雪にカルピスをかけてかき氷にしたこと、テントから出て見た朝焼けの素晴らしさ、満天の星空を見ながら恋バナしたこと…

 

 

人の記憶って不思議だ。すっかり忘れてしまったと思っていても、ふとしたときに思わぬ場面が蘇る。匂いで、手触りで、味で、ふっと思ってもみなかったことを思い出す。本当は全部覚えているのだけど、その記憶を呼び覚ます術を忘れてしまっているだけなのかもしれない。

 

ヒュッテは、遠い日のかけがえのない記憶を呼び覚ますのにぴったりな機会。

皆さんもぜひ、大菩薩ヒュッテで遠い日の記憶を掘り起こしてみてください。

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(当時の記憶があやふや過ぎて不安になって実家から送ってもらった山岳部時代の写真[右写真中央が私]。ちゃんと山登っていた:)

 

※多くの武蔵生にこうした機会を提供するために、ヒュッテを維持管理してくださっているOBOGの皆様、そして管理人の塩塚さん、本当にありがとうございます(何も貢献していなくてすみません!)。自然の威力を少しは知る身として、あの維持管理は本当に重労働だと思います。重ねてお礼申し上げます。

 

1994年卒業 山岳部 杉崎真名