平地では暑さが残る平成25年9月21日(土)~22日(日)、顧問をしている栄東中学校・高等学校(埼玉県さいたま市)の理科研究部で、大菩薩ヒュッテを訪れました。天体観察をすることと、科学観測(土壌の成分調べやヒュッテのすぐ近くを流れる姫の湯沢での生息生物と水質の調査等)をすることが目的でした。訪れたのは理科研究部員13人(高校1年生8人、中学3年生2人、中学2年生2人、中学1年生1人)と顧問2人の、計15人でした。平成24年9月に続いて2年連続で利用させて頂き、今回はリピーターも8人いました。
1日目(9月21日)の昼過ぎ、JR塩山駅前から路線バスに乗り登山口(裂石)に向かい、裂石からは歩いて登りました。車道を30分間程登って仙石茶屋で一休み、そこからは本格的な登山道を進みました。このコースは、私が高校1年で山岳部に入部した春に、部で初めて歩いた山道で、何度歩いても懐かしく感じます。同じ登山道であっても、自然のことなのでその時々によって状況が異なります。今回は、前の週に接近した台風による大雨の影響で、かなり滑りやすく悪路になっている箇所もありました。自然の怖さも改めて実感しました。生徒たちはお互いを気遣いながら、一列になって少しずつ進みました。上日川峠に到着したときには、少しホッとしました。そこから間もなく、福ちゃん荘を経てヒュッテに到着しました。
早速、まきストーブに火をおこしました。下界は冷房が必要な暑さであっても、標高1700メートル程では、朝晩を中心に暖房がありがたいほどの寒さです。台所では、夕食の準備を始めました。台風の影響により水源で何らかの不具合があったようで、ヒュッテの水道に水は通じておらず、まずは姫の湯沢へ水汲みに行きました。思い出してみれば、在学中はいつもこの沢まで水を汲みに行って、美味
しく飲んでいました。夕食のメニューはカレーライスとスープでした。生徒たちは、学校行事(宿泊を伴う行事)ではエアコンと食事が完備した施設(ホテル等)を利用することが多いため、ヒュッテで過ごした2日間は普段味わえない貴重な経験だったように思います。夕食後は、富士見山荘の前の広場で天体観察をおこないました。好天に恵まれましたが、月の明かりもかなり強く、比較的暗い恒星を探すのには少し苦労しました。
2日目(9月22日)の朝食のおかずは、鮭とはんぺん、味噌汁でした。朝食を終えると、徒歩で大菩薩峠への登頂を目指しました。ヒュッテからは徒歩で40分程の道のりでした。早朝にくっきりと姿を見せていた富士山は、いつの間にか雲の中に見えなくなっていましたが、大菩薩峠からは上日川ダムや甲府の街並などの風景を楽しむことができました。生徒たちは、そこから一足伸ばして、旧峠まで往復してきました。
続いて2グループに分かれて、「水道の不具合の原因調査」と「姫の湯沢での生息生物と水質の調査」をおこないました。生徒5人と私は、ヒュッテからのびるホースに沿って水源まで歩きました。残念ながら、原因の究明・復旧には至りませんでした。この間、生徒8人ともう1人の顧問は、姫の湯沢で大収穫だったようです。数匹の魚を採取しましたが、記録に残して放流したそうです。また、パックテスト等を用いて測定した水質の値は、溶存酸素量などいずれの測定項目も、測定範囲の上限を超えてしまうほど良い水質でした。
こうして、2日間はあっという間に過ぎました。おかげさまで、2日間好天に恵まれて計画どおり実施できました。昨年度に引き続き、理科研究部でヒュッテを利用させて頂き、ありがとうございました。
月日が経って立派な新校舎が建ち、学校の敷地の周囲(道沿い)に残る桜並木以外は、当時の面影は卒業アルバムで見られるだけとなりました。ヒュッテとその周辺は、生で見られる当時のままの風景であり、私にとっては高校時代の気持ちに戻れる貴重な存在です。
(山岳部会報「やまね通信2号 2014.3」掲載分)